終章

 

昭和26年(1951)5月1日、別れの時は突然やってきた。2人の子供たちが看取る中、かっての職場である長崎大学付属病院で博士は力強い祈りの声の後、静かに帰天した。(享年43歳)

 

祈りの中で迎えた静かな博士の終焉
祈りの中で迎えた静かな博士の終焉 左は博士実弟 元(はじめ)

 

廃虚の浦上天主堂で行われた博士の葬儀
廃虚の浦上天主堂で行われた博士の葬儀

 

「ここから見ていると、誠一は瓦のかけらをもっこで担いで捨てに行くところ、カヤノはつるばらの花を有田焼のかけらに盛って独りでままごとをしている。この兄妹が大きくなってから、私の考えをどう批判するだろうか?五十年もたてば、今の私よりずっと年上になるのだから、二人寄ってこの書をひらき、お父さんの考えも若かったのう、などと義歯を鳴らして語り合うかもしれないな。」
(永井隆 著「この子を残して」より)

 

博士が生活した二畳の部屋
博士が生活した二畳の部屋